生産ラインのヒヤリハットや違和感に関する気づきの発信。受け止めを促進するワークショップの提案

摘要

生産ラインで作業者のミスによる品質不良が発生した場合，以前にもヒヤリハットが起きていて報告されていなかったことが明らかになる．もしもヒヤリハットが管理者に報告されていれば，管理者はハインリッヒの法則に基づいて対策を実施して，問題を未然に防ぐことができる。しかしヒヤリハットが報告されないために，管理者は問題を未然防止することができない。本報告は，作業者の意図しないミスによって発生する問題の未然防止に焦点を絞り，第1に作業者がヒヤリハットに気づく，第2にヒヤリハットを発信する，第3に発信を管理監督者が受け止める，という3つのステップを阻害して品質問題に至る原因を考察した．この結果に基づいて，気づきを積極的に発信する，発信を確実に受け止める，というプロセスを促進する意識変革に役立つ2フェーズ構成のワークショップを提案する．すなわち社会的事故の原因究明を行うフェーズ1と自職場の問題を原因究明するフェーズ2からなるワークショップである．ワークショッ70を実施した後，作業者からのヒヤリハット発信が増加し，その結果マネジメント課題が顕在化して，管理者はその課題解決のアクションを取った．