求められる数学教育の多層化一次世代の数学科の授業づくりに向けて

摘要

OECDは，2015年から，2030年という近未来において子どもに求められるコンビテンシーを検討するとともに，そうしたコンビテンシーの育成につながるカリキュラムや教授法，学習評価などについて検討するEducation2030プロジェクトを展開している［1］．このプロジェクトでは，同じくOECDがDeSeCoプロジェクトにおいて定義したキー·コンビテンシー（2003年に最終報告）に立脚しつつ，VUCA（不安定，不確実，複雑，曖昧）が急速に進展する時代において，「変革を起こす力のあるコンビテンシー」として，新たに，次の3つを特定している．また，デジタル情報やデータを使いこなす力は，「心身の健康と同じように不可欠なもの」と位置づけられている．