大気汚染防止法の改正とVOC排出抑制対策について

摘要

揮発性有機化合物（VOC）は，トルエン，キシレンなど約200種類の物質が用いられており，我が国では年間約185万トンが大気中に排出されている。VOCは，昭和40年代から，光化学オキシダントの原因物質として知られていたが，近年では，浮遊粒子状物質（SPM）の原因物質であることも判明してきたところであり，SPM，NO_x，SO_xと並ぶ「四大大気汚染物質」の一つとして，その排出抑制は大気汚染防止行政に残された大きな課題である。 環境省においては，VOCの排出抑制について，専門家や関係業界の意見も聞き，技術的·制度的にどのような排出抑制の仕組みが妥当であるか検討を行ってきた。 平成16年2月の中央環境審議会意見具申を踏まえ，3月に「大気汚染防止法の一部を改正する法律案」を閣議決定し，国会に提出した。 この改正法は5月19日に原案どおり成立し，5月26日に公布された。 現在，改正法の施行に必要な具体的なルールを検討しているところである。