石油タンク内の清掃作業による人体などへの静電気帯電の可能性

摘要

浮屋根式原油タンクにおいて原油スラッジを除去するクリーニング作業時に、換気用のファンを運転させながら複数人が入槽して作業をしていた。 浮屋根は着床した状態で、浮屋根と床の間の高さは2mほどで、この空間で作業をしていた。 作業者は、ホースで受け入れた軽油とスラッジを攪拌し、スラッジをトンボで掻き集め、ポンプで吸い出していた。この作業中にタンク内で火災が発生し、5名が亡くなった。 この火災の幾つか想定される出火原因のうちのひとつとして、静電気放電による着火も考えられている。 石油タンク内で作業する際の人命安全を図るため、出火危険を排除する必要があると考える。 われわれは、タンク内の作業中に出火原因の一部となりうる静電気帯電を起こしそうな作業をいくつか取り上げ、人体や着衣、道具等の表面電位を計測し、放電の危険性について検証した。 また、その結果分かったことをもとに安全対策の提言を行う。