『パリ協定』成立-企業の取り組みにも長期的な視点が不可欠に

摘要

COP21（国運気候変動枠組条約第21回締約国会議）で採択されたパリ協定では、法的拘束力のある国連文書として初めて意欲的な長期目標が明記された。産業革命前からの世界の平均気温の上昇を2度よりも十分低く抑えていくために、今世紀後半に、人為起源の温室効果ガスの排出と吸収をバランスさせる、つまり実質的に排出量をゼロにしていくという目標である。これは、「脱化石燃料」に向けた強力なシグナルであり、あらゆる経済活動において「炭素の排出＝よくないこと」という価値判断がベースとなっていくことを意味している。温暖化の最大の原因でありながら、思うように削減が進hでこなかった化石燃料の消費に対し、パラダイムシフトをもたらす成果である。パリ協定には、今後「5年サイクル」で科学をベースに対策が進hでいく仕組みも盛り込まれた。ビジネスのあり方に対しても、大きな変化をもたらしていくことが予想される。