優れた耐熱·耐酸化性, 高硬度のコバルトレス超硬合金を新開発

摘要

超硬合金のバインダー材として一般に使われているコバルト（Co）に代わり，資源的に豊富な鉄とアルミの金属間化合物（FeAl）を採用して従来よりも耐熱性，耐酸化性を大幅に高めた新しいFeAl－WC（炭化タングステン）超硬合金を産業技術総合研究所·サステナブルマテリアル研究部門の松本章宏主任研究員（相制御材料研究グループ）らが開発した。 このFeAlはCoの約10倍の硬度を持つためWCの量を減らせる可能性もある。 今回の新材料開発は，Coの資源,環境面での問題と，WCのバインダーとしての特性改善の両面から進められてきた。 Coは資源的には昔にくらべると生産国が多様化し供給も安定化されてきてはいるが，今後，中国などでの消費増加で需要が急拡大すると予想されること，また資源量（地殻中の元素の平均含有量）からみてもAl，Feにく－らべるとはるかに少ない。