呼気分析の基礎と医療応用

摘要

呼気分析と医学の関係は意外と古く、紀元前400年ごろ医学の父といわれるヒポクラテスの著書に、すでに「呼気の匂いが、様々な疾患の診断の鍵となる」との記載があり、甘い果実→糖尿痛、腐った魚→肝臓病、尿臭→腎臓病など呼気臭と疾患の関連が指摘されている。しかしこの呼気分析の医学応用の端緒ともいうべき知識は中世の闇に埋もれ、その再発見は18世紀後半の「近代化学の父」といわれるAntoine Lavoisierによる呼気中二酸化炭素の発見まで待たねばならなかった。その後相次いで呼気中アセトンヤアルコールといった揮発性有機物質（Volatile Organic Compound：VOC）が発見され、近代分析化学としての呼気分析の確立へと繋がってゆくことになる。