ナノ粒子材料製造における作業環境評価と超微粒子計測技術

摘要

2009年厚生労働省から公表された「工業用ナノ材料に関する環境影響防止ガイドライン」では、工業的使用を目的に製造された一辺以上がナノメータオーダ（1～100nm）の大きさの物質とその凝集物として定義される"ナノ材料”に関して、作業者への曝露保護および周辺環境への漏出対策を行うように要請している。図1は作業環境における粒子の挙動を示しており、充填·移し替えを行う工程や装置の清掃を行う作業等で作業環境中に粒子が飛散し、その結果作業者が粒子を吸入するおそれがある。そのため、ナノ材科を扱う件業環境を評価するためには、最初に作貴著の暴露防直の加古から窒際の椎業環境の計測手法の確立が大切である。一方、暴露防止の措置を講じる目的や試験動物への暴露試験を行う目的で、対象のナノ材料粉末からどの程度粒子が飛散するかの試験（ダスティネス試験）の手法の確立も重要である。これらナノ材料由来粒子の計測法やダスティネス試験法については、産業総合研究所の安全科学部門や米国のNI－OSH（国立労働安全研究所）での報告書や各種ナノ材料関連の雑誌の解説も等に詳しく記載されている。そこで本報では、これらの報告書の中身を抜粋して報告した上で、現在直面していると考えられる課題を述べる。