不斉バナジウム錯体を用いた新規固定化触媒の設計と触媒的2-ナフトール不斉カップリング反応

摘要

アミノ酸骨格の不斉3座配位子を有する不斉Ⅴ単核錯体をSiO_2表面に固定化し、2-ナフトールカップリング反応に高い不斉選択性を有する新規不斉固定化触媒の設計を行った。 SiO_2表面との反応により、Ⅴ錯体の3座配位子の不斉構造を規定しない1座が選択的に解離し、配位不飽和活性Ⅴ種と残りの2座配位子によって規定される不斉空間が形成された。 表面上では2つのⅤ錯体が会合して、カップリング反応に有利な複核構造をとることが示唆された。 このSiO_2固定化触媒は、酸素共存下2-ナフトールの酸化的カップリングに活性を示し、96％の転化率、100％の選択性でBINOLを生成した。 Ⅴの担持量の増加と共に飛躍的に不斉選択性が増加し、最高不斉収率90％を得ることに成功した。