二酸化炭素を反応試剤とするカーボネート合成

摘要

カーボネート（環状カーボネート）はポリカーボネートの原料,燃料電池溶媒，種々の合成中間体として利用されている。 ポリカーボネートはその強度，耐久性,透過性が他と比較して極めて優れているため,自動車用ガラス,フィルム素材などのエンジニアリングプラスチックとして利用されている。 ポリカーボネートの需要は年々着実に増加しており,現在年間生産量は150万トンを超える。 従来，カーボネートはホスゲンを原料として効率よく合成されてきたが（ポリカーボネートはビスフェノールAとホスゲンから合成される），ホスゲンの猛毒性のため,その使用は縮小の傾向にある。 最近では，二酸化炭素を原料に用いたカーボネート合成のための触媒開発が積極的に行なわれている。 特に,エポキシドへの付加環化による環状カーボネート合成が多数報告されている。本稿では,二酸化炭素を反応試剤とする環状カーボネート合成の最近の例について紹介する。