ダイヤモンドをよく知るために

摘要

カーボン原子の六角網面を基本単位としているグラファイトファミリーを代表するグラファイト結晶のストラクチャは，その網平面の積層規則性によって六方晶系と菱面体晶系とがある。 前者の規則性はABAB……と表され，常温常圧での熱力学的安定相であり，後者はABCABC……の規則性で，せh断応力などによって積層欠陥として生じるものと考えられている。 図1（a）に六角網平面の積層規則性をc軸からの投影図として示した。第1層Aに対して，第2層Bの原子の半分は第1層Aの六角形の中心の直上に位置することが最も安定である。 すなわち，aおよびb軸方向にそれぞれ2／3および1／3だけC面上でずれている。 第3層の積層には二つの可能性がある。その一つは，それぞれ1／3および2／3ずれることであり，それによって，二つの軸方向へのトータルとしてのずれがともに1となる。 すなわち，第1層Aと一致し，六方晶系の積層現則性ABAとなる。 もう一つの積層方式は，aおよびb軸方向にさらに2／3および1／3ずれること，すなわち，B層の六角形の中心の直上に位置することであり，新しい位置Cとなる。 さらに，2／3および1／3ずれると，トータルのずれは2および1となり，第1層Aと一致することとなる。 すなわち，ABCAの積層規則性であり，菱面体晶系に属することとなる。