アルミニウム合金製置き中子を使用したセミクローズドシリンダーブロックのダイカスト鋳造技術

摘要

ウオータージャケットのデッキ面にブリッジを形成するセミクローズドシリンダーブロックを製造するために、アルミニウム合金製置き中子を用いて低コストで量産性のあるダイカスト法を開発した。 アルミニウム合金ダイカストは、優れた寸法精度、美麗で平滑な鋳肌、高い量産性等の特徴を生かし、多くの産業分野でその使用量を増加させてきた。 特に自動車産業において環境問題から発生した燃費規制による自動車の軽量化、資源保護問題に対応するリサイクル性といった観点からアルミニウム合金ダイカストの適用が増加し、より一層の薄肉化、高品質化、複雑化が要求されている。 しかし、ダイカストの欠点の1つにアンダーカット品への対応の困難さがあり、ダイカスト化できない部品も未だ多く残っている。 特に機関部品であるシリンダーブロックは、エンジンの高性能化にともないオープンタイプのデッキ面からアンダーカットのあるクローズドタイプのデッキ面への必要性が増している。 本研究では、アルミニウム合金製中子を使用することによって、デッキ面のウォータージャケット部にブリッジ部を設けたセミクローズドタイプのシリンダーブロックを開発した。 この技術は低コストで量産性に優れた鋳造法である。本稿では、このセミクローズドシリンダーブロックの開発概要（置き中子、品質安定化）について報告する。