100年の歴史を刻む鋳物工業の原点-日立金属㈱九州工場鋳物記念館

摘要

明治43年（1910年）北九州戸畑の地にて戸畑鋳物㈱が創業した。創業者は鮎川義介、後に世に言う日産コンツェルンの総帥である。当時の日本工業界は、近代化の途上にあり、そのほとhど全てを輸入に頼っていた。大学を卒業したばかりの鮎川は、2年間で80もの工場を回り、日本の機械工業の近代化には基礎である鋳物の国産化が必要であると確信し、自ら鋳物業を興す決意をし、近代工業鋳物の製造技術を学ぶため単身米国に渡った。帰国後大叔父の井上馨公爵の斡旋で資本金30万円の戸畑鋳物㈱を原料の鉄、石炭、そして海運に優れた戸畑の地に設立し、明治45年、東洋における最初の異心可鍛鋳鉄が誕生することになる。