特殊鋼製品ができるまでの試験と検査：VI.会員メーカーの新しい試験·検査技術－酸溶解法（非金属介在物評価試験）

摘要

繰り返し応力を受ける部品では、使用中に非金属介在物（酸化物、硫化物）を起点として折損する場合がある。近年、特に自動車用部品を中心に高強度化が進hでおり、これに伴い介在物を起点とした疲労破壊も起こりやすくなってきている。SAE9254をはじめとして、ほとhどのばね用鋼の疲労破壊起点に現れる介在物の大きさは20 μm以上で、その組成はAl{sub}2O{sub}3、CaO-Al{sub}2O{sub}3、MgO-Al{sub}2O{sub}3、CaO-SiO{sub}2-Al{sub}2O{sub}3、MgO- Al{sub}2O{sub}3-SiO{sub}2-CaOなどのAl{sub}2O{sub}3リッチな介在物である。 また、スチールコードのような極細線の製造工程においては、伸線時やより線時に介在物を起点として断線が発生し、生産性や歩留りを落とす原因となっている。 ここで現れる介在物もほとhどが20μm以上のAl{sub}2O{sub}3リッチな介在物である。 鋼材や線材の介在物レベルを評価する場合、JIS法などの研磨面で介在物を観察する検鏡法が従来から用いられてきた。