異種混合ネットワークにおけるサブフロー間のRTT比を考慮したMPTCPのためのパケットスケジューリング方式

摘要

近年，スマートフォン等のモバイル端末は高性能化し，4G等のセルラネットワークやWi-Fi等の複数の無線インタフェースを備えるのが一般的となった．高速かつ安定した通信の実現のためには，これら複数の無線インタフェースを用いたマルチパス通信が有用であるが，セルラネットワークとWi-Fi等，環境が大きく異なる異種混合ネットワークでマルチパス通信を行うと，パケットの到着順序に入れ替わりが生じ，スループットが大幅に低下するという問題がある．そこで本論文では，2つのサブフローを用いるMPTCP（Multipath TCP）を対象に，サブフロー間のRTT比を考慮したパケットスケジューリング方式を提案する．そして，シミュレーション実験により，提案方式は従来方式よりも平均スループットとサブフロー利用比率が向上することを示す．