リンク評価値を用いた経路構成法による高機能ノードマルチキャスト木構成効率の検討

摘要

パケットロスの検知やバッファリングによる再送機能などの高度処理能力を持つ高機能ノードが存在するネットワークでの経路制御の一つとして，マルチキャストツリー上のトラヒック状況の悪化したボトルネックリンクを他のノードに付け替える，ツリー部分的再構成法が提案されているが，適用対象がマルチキャストツリーの再構成のみに限定されており，一般化が困難である．これに対し，リンクの遅延及びパケットロス率双方を統合した新しいリンク評価値を定義し，ダイクストラ法を用いることで，高機能ノードの再送機能を考慮した経路構成を実現するリンク評価値法が提案されている．本稿では，このリンク評価値法を用いてマルチキャストツリーを構成する一般的な手法に着目し，ボトルネックリンクを回避するマルチキャストツリー再構成を対象として，再送処理を効果的に行える経路の構成が実現できることを示すため，計算機シミュレーションによる性能比較を行った．その結果，リンク評価値法の方が，アプリケーションレイヤロス率の低くなる経路の構成を実現できることが確認され，再送処理を効果的に行える経路を構成可能であることが，明らかになった．