ネットワーク機器のTDR法によるケーブル故障診断方式の検討

摘要

多数の通信端末をケーブル接続しているネットワークでは，配線構成が複雑なために，ケーブル劣化や接続不十分などによる伝送路の不具合が生じた場合における原因の特定が困難である．一方，このようなネットワークの故障を診断する技術が求められている．伝送路の診断手法の一つにTDR （Time Domain Reflectometry）法があるが，TDR法は断線など簡単な故障しか検出できない．また多点接続ネットワークに対するTDR波形は非常に複雑になるため，これを解析して原因を特定することが困難である．そこで，差動信号線と1本のGND線で構成されるケーブルを対象とし，本来の伝送モード以外を含めた複数のモードに対してTDR測定を行うことにより，不具合状況をより詳しく特定するマルチモードTDR法を考案した．マルチモードTDR法を用いたインピーダンス応答を，提案するフローに沿って各故障状態におけるTDR波形を解析することにより，従来では複雑だった故障判断を簡易化でき，自動的に切り分けられることを報告する．