脳情報工学の確立に向けたアナログ·デジタル融合方式回路技術の進展：脳型視覚システムのための要素回路の開発

摘要

真に知能的なロボットを作り出すためには，脳の情報処理メカニズムを解明し，それを工学的に応用するアプローチが必要である。 脳は現在のデジタルコンピュータと異なり，超並列でかつダイナミックに動作するシステムなので，そのためのハードウェア（集積回路）技術が重要になる。 我々はこのようなアプローチを「脳情報工学」とよび，筆者の所属する専攻ではその確立を目指して研究プロジェクトを推進している。 このプロジェクトの成果の一部として，本稿では，脳型視覚システムのために開発した，アナログ·デジタル融合方式回路技術を用いたガボールフィルタLSIおよび畳み込みニューラルネットワークLSIについて述べる。 また，現在集積回路化を進めている，主観的輪郭生成のための異方性拡散アルゴリズムについても紹介する。