音声の構造的表象に基づく非母語話者の英語発音分析

摘要

音声の生成，伝達，聴取の過程において混入する不可避的な静的歪みに影響を受けない新しい音声の表象手法として，音声の音響的普遍構造が提案されている．この構造的表象によって英語学習者の発音状態を描くことが可能であり，さらに英語学習者の発音自動評定が可能となることが示されている．本研究では，構造的表象に関して2つの観点から行った分析を報告する．一つ目の分析では，データ量が限られている場合においても構造的表象により学習者の発音状態を記述することが可能であり，さらに学習者の発音が上達する様子を追跡する事が可能となることを実験的に示す．二つ目は，韻律的特徴，特に強勢弱勢母音に着眼し，構造のサイズとの関連について分析する．構造サイズと学習者の発音習熟度との間に高い相関があることを実験的に示し，自動発音評定への応用の可能性について考察する．