重要文抽出による音声自動要約手法とその客観評価法についての検討

摘要

本論文では，講演音声から概要などの短い要約文を作成することを目的とした，重要文抽出に基づく音声自動要約手法と，その客観評価方法について論じる．低い要約率で講演音声を要約する場合，人は序論·結論の部分から多く重要文を抽出する傾向がある．そこで，講演内の文位置を考慮した重要文抽出手法を提案する．要約率10％の条件における実験の結果，これまでに提案している幾つかの重要文抽出手法に文位置の情報を組み込むことによって，音声自動要約性能が大きく改善されることが確認できた．さらに，得られた要約結果を用いて，これまでに提案されてきた要約正解精度，文抽出のF値，ROUGE-Nなどの客観評価尺度と主観評価値との関係を調べた．その結果，これらの客観評価尺度は主観評価値との相関が高く，要約手法の評価に有効であることが確認された．