ダイヤモンドシートを用いたガラス基板の固定砥粒研磨の研究: クーラント種による研磨レートの評価とその影響分析

摘要

HDD （Hard Disk Drive）の長期保存用媒体としての需要増加に伴い，HDDに用いられるガラス基板の低コスト化や量産化が要求されている．現在，ガラス基板の生産工程における第一次研磨では，ダイヤモンドシートとクーラントを用いた固定砥粒研磨法が採用されている．しかしながら，各種あるクーラント内のそれぞれに含まれる成分の影響を含め，使用するクーラントの特性が研磨レートに及ぼす影響は明らかにされていない．一方，クーラントの主成分は明らかにされていないことがほとhどであるが，研磨レートの大小に沿った何らかの物理的現象を生じると考えられる．本研究ではクーラントの物理的特性と研磨中におけるクーラントの挙動の観点から，ダイヤモンドシートによるガラス研磨の高能率化に求められる指針提示を目的とする．本論文では，研磨レートに影響を与える因子として，研磨中の摩擦係数やクーラントの動粘度，さらにはクーラント挙動としてのあやめ模様の物理的現象に着目し，データを取得した．さらに，重回帰分析することで，クーラントの性能諸元の明確化と研磨レートへの影響因子の解明を行った．その結果，クーラントの動粘度や摩擦係数，あやめ模様が研磨レートに影響することを確認した．