磁性加工ジグを用いた内面の磁気バリ取り法に関する研究－SUS304ステンレス鋼円管内面のドリル加工穴の精密バリ取り

摘要

細長いパイプ内面に生じたドリル加工穴のバリ取りは手作業に依存しているのが現状である．従来のバリ取り工具はパイプ外面には容易に適用できるが，細長いパイプ内面に生じたバリ取りには適用しにくい．このため，新しい内面のバリ取り方法の開発が求められている．本研究は，バリが繰り返し曲げ変形を受けることによる脆性破断を利用した新しい内面磁気バリ取り法を提案している．このバリ取り法は磁性加工ジグ（磁石工具）を利用するため，バリ取りに必要な強力な磁力（加工力）が得られること，磁石工具面上に磁性粒子を磁力吸着させて，バリを挟hで繰り返し曲げ変形によって迅速にバリを除去する新しい方法である．本研究では，普通旋盤を用いた円管内面の磁気援用加工装置と磁性加工ジグを製作し，SUS304ステンレス鋼円管の外側から3mm径ドリルを用いたドリル加工穴の内面バリ取り実験を実施した．その結果，バリ高さ165μmを1μmに大幅に減少できることを確認でき，提案した新しい内面バリ取り法の有用性を明らかにすることができた．