子どもの遊びと音環境: 静岡市内の保育所における調査から

摘要

聴覚の発達途上にある乳幼児にとって，音環境が聴力に及ぼす影響も懸念される。志村ら（2014）は保育者と一緒に保育を行った成人の聴力検査を実施し，吸音材導入後の残響時間が短い保育室環境では，保育終了直後の聴力レベルの大幅な低減は起きないことを報告している。嶋田ら（2019）は幼児期における選択的聴取の発達過程を踏まえ，保育における音環境の整備の重要性を指摘している。しかし，このような保育環境において，実際にそこで子どもがどのような遊びをしており，それが音環境とどう結びついているのかという点には未だ研究の余地がある。そこで本稿では上述の背景を踏まえ，保育室の音環境の測定を行ったうえで，そこで生み出される音環境が幼児の遊びとどのように関連しているのか検討した結果を資料として提示したい。