建築音響関連の実験室試験に関する規格

摘要

建築部材の音響性能試験のための施設は，性能評価のためのある種土俵としての役割だけでなく，材料の研究·開発，性能を支配する要因解析などの場として有効に利用されてきている。したがって，実験施設は統一的な手法を定めた規格に基づいて構築されるべきであるが，実際の現場の状況とかけ離れた特異な条件を提供するものであってはならない。 ゆえに，そこで得られた結果がどのような条件範囲を代表するものであるか，また現場における実際の性能予測に如何に適用すべきかについては，目的に応じた音響技術者の的確な判断が必要で，安易な性能値の議論に陥るべきでないことは言うまでもない。 建築音響における測定法規格は，ともすると建築様式の違いが測定手法や測定施設に影響するため，国際的な統一が難しい一面をもっている。 ここでは，国際規格の動向をふまえ，表－1に示すように，建築部材の実験室における音響性能測定に関する規格を吸音，遮音，床衝撃音および音響出力（給水設備機器発生音のみ）に分類し，JISの体系における建築部材の実験室における音響性能測定に関する規格について簡単に解説する。