高齢者を考慮した建築空間設計と音環境

摘要

人口全体の中の高齢者の比率の上昇に加えて，生活水準の向上や医療技術の発達により，加齢による衰えはあっても，年齢相応に健常であり，一般人に混じって殆ど同一の社会生活を営もうとする高齢者が増加している。 このような高齢者は，建築や都市環境において，すでにマイナーな存在ではなく，建築·都市計画に当たっては，普遍的な人間像だという想定のもとに施策を行う必要がある。 上述した種々の項目は，個人差が大きいと同時に，一個人にあっても各機能の衰えの程度に差がある。 つまり，機能的にアンバランスな状態の高齢者が多く存在している。 このような特性の高齢者に対して建築·都市設計者，そして我々のような音響技術者が何を考慮する必要があるのか考えてみたい。