プルサーマル-その意義と安全性I.核燃料におけるプルサーマルの位置づけ

摘要

21世紀の人類文明は，「利用より調和」を高い理念としたリサイクル文明と呼べるかもしれない。 今後，自然や社会と調和を図ってい〈ためには，単に利用の観点から，科学技術を考えていたことを基本的に見直していくべきである。 自然環境は，家庭や産業からの大量の廃棄物に悲鳴をあげており，多くの人々が，今の状態を継続していくことに危機感を抱いている。 21世紀の社会は，大量消費·大量廃棄の文明から脱却することを求めて，資源を再循環し，廃棄物を出さないように努めることを基本理念とするリサイクル社会になるであろう。 このリサイクル社会の先駆けは，すでに産業廃棄物の処理をめぐる諸問題や地球温暖化問題の国際合意をめぐる議論に現れている。 原子力だけがこれに無関係に我が道を行く，ということにはならないのは当然のことである。 むしろ，率先して調和のとれた新しい文明を築き上げる科学技術に育っべきであり，原子力にそれが可能であるかどうかを今まさに問われているのである。 その答えの出発点が，プルサーマルである。