吸着材デシカントローターの水蒸気吸脱着挙動－第2報：物質移動係数の推算とローター回転数および空気流速の影響

摘要

吸着材デシカントローターに関して，垣内らは低温熱源でも使用可能な吸着ヒートポンプに適した吸着材を提案している．これはデシカントローターにも十分適応可能であるが，C. J. Simonsonらが指摘しているように吸着材の吸着等温線の違いや，操作条件により性能に大きな差が生じるため，操作条件に応じた設計が必要である．この点でデシカントローターの詳細な吸着挙動の把握が必要であるがデシカントローターの吸着挙動に関する研究はいくつか報告されているものの，空気条件や操作条件が限定的であり，実験結果との比較検討が不十分な場面も見受けられる．これも一因として，デシカント空調プロセスの設計·操作については今なお経験によるところが大きく，明確な指針は得られていない．本研究でも，デシカントローターの設計·操作指針を得るために，数値計算によりデシカントローター内における水蒸気の吸脱着挙動を検討してきた。 前報では物質移動係数を実験結果から逆算し整理した結果，空気条件への依存性は小さいことを示した。本報では物質移動係数に与えるサイクル時間および流速の影響を調べ，さらに広い操作条件でローター内の水蒸気吸脱挙動を検討した．