ペルチェ素子を用いた拡散法に基づく小型雪結晶生成装置の開発

摘要

本論文で用いる「拡散法」とは，前述の中谷による対流型雪結晶生成装置の対義語としての意味を持つ．中谷の装置は，装置内に自然対流を意図的に発生させるが，本装置は中谷の装置と上下逆の構造，すなわち冷却源を装置底部に設け，加湿部を冷却源および雪結晶生成地点より上部に設けることで，自然対流の発生を期待しない．また，装置の構造上，雪結晶の生成および成長は，空気中に微水滴が存在する状態で生じる．本装置は市販品で，基本的に組立不要である．冷却源には家庭用電源で動作可能としたペルチェ素子を使用し，ドライアイスなどの特殊な材料を必要としない．したがって，誰でも簡単に常温の環境下にある卓上で雪結晶を生成し，成長過程を観察できる．拡散法の採用により，装置の小型化と複数人による同時観察を実現できた．本論文では，小型雪結晶生成装置の基本構造を示し，主に温度に着目した装置の性能を報告する．