凍結問題の簡易的数値計算方法

摘要

液体が固体に相変化する凍結現象は，食品の冷凍保存，製氷工場や化学処理工場，金属精錬，原子力施設などの工学的分野のみならず，血液の凍結保存をはじめとした生体工学など多くの分野にわたって観察され，能動的に利用されている．しかしながら，例えば積雪寒冷地などでは，スリップ事故や歩行者の転倒などの原因ともなり，また，工業的には送水管の凍結によって流体の輸送能力が低下し，場合によっては管が破壊されるなど，凍害問題を引き起こす原因にもなっている．従来より凍結問題を解明するために，く形容器内の凍結をはじめ，流れのある円管内，および円管周りの凍結などを対象に多くの研究がなされてきたのは周知のとおりである．本研究は，水の凍結問題を解くために，有限体積法と温度回復法に基づく簡便な数値計算方法を提案するものである．本報では，その数値計算手法の詳細について述べるとともに，本数値計算方法の妥当性について検証するため，他の研究者らによる実験，および数値計算結果と比較·検討を行ったので報告する．