2.職場における7熱中症の実態と実用的な対策

摘要

熱中症関連のニュースは毎夏多く報道されている.一般的に起こる熱中症の多くは高齢者であり，また学校で起きた熱中症がニュースとして取り上げられることが多いことから，職場の熱中症の実態はあまり広く認識されていないかもしれない.熱中症で救急搬送された患者情報の報告によると，労働，スポーツ，および日常生活に発生状況を分けた場合，34%が労働時に熱中症を発症している.この報告の2010年は猛暑であり，熱中症による救急搬送者は約5万人であった.したがって概算すると，1年間に約1万7千人の労働者が熱中症を発症していたことになる.本稿では，労働現場における熱中症の実態と，実用的な対策について述べる.