パッシブハウスが求める世界標準の躯体性能－NZEB（ニアリーゼロエネルギー建築）を目指して

摘要

パッシブハウスとは，ドイツパッシブハウス研究所が規定する性能認定基準を満たす省エネルギー住宅である．1991年にドイツのDarmstadt-Kranichsteinに建てられた集合住宅が，パッシブハウス第一号と言われている．以降，Wolfgang Feist博士の率いるパッシブハウス研究所では，パッシブハウスの設計のために必要な計算ツールPHPP（パッシブハウス·プランニング·パッケージ）の開発を行うとともに，パッシブハウス基準を満たす建物に対して独自の認証を行っている．並行して北ヨーロッパ型気候でのパッシブハウス建設に奨励される建材（主にサッシや換気システム）の認証システムも確立し，ドイツ政府の補助金などは使わずにシンクタンクとして世界中から注目を浴びるようになった．PHPPは毎年進化を遂げ，数ある温熱シミュレーションソフトの中でも，設計段階でのシミュレーションと竣工後の実測値との差が少ないことで知られている．図1の左側はドイツが義務化する低エネルギー住宅であり，右側3軒はパッシブハウス仕様の集合住宅である.