廃熱利用高温ヒートポンプサイクルの基本性能に関する熱力学的考察

摘要

塗装や木材などの乾燥工程，食品加工工程，飲料や薬剤などの蒸留工程，機械加工品の洗浄工程などの産業用熱源としてボイラが用いられているが，配管からの熱損失，化石燃料消費，温暖化ガス排出といった課題がある．また，それらの工程では比較的高い温度の熱が排出される場合があり，これを昇温して再利用する産業用ヒートポンプの導入が試みられている．しかしながら，一次エネルギー換算ではそのようなヒートポンプの効率が燃焼式に劣るという懸念があったため，本研究では，80°Cの廃熱源を利用し循環圧縮水を160°Cまで昇温するヒートポンプシステムを想定した熱力学的性能評価を行った．