食品の安全·品質に関する技術講座 第76回 生鮮青果物の保存（4）ビワ「なったより」の鮮度保持について

摘要

今回は，ビワの鮮度保持による食味の変化や貯蔵方法などによる品質の違いについて，近年栽培面積が増加しているビワ「なったより」を事例に山下らが行った研究を紹介する．ビワ「なったより」は，長崎県農林技術開発センターにおいて，早生品種の中で食味が優れる「長崎早生」に大果品種である「福原早生」を交雑して作出した大果で食味の良い品種で，2009（平成21）年に登録された（図1）．県内では，露地栽培の主力品種「茂木」にかわる有望品種として年々導入面積，出荷量が増加傾向にあるが，出荷期間は5月中旬から6月上旬の約2～3週間と短期間である．ビワを取り扱う際にまず理解しておきたいのが，ビワは収穫後追熟しないということである．そのため，完熟での収穫が必要になるが，ビワの成熟時期は気温が高いため，収穫後の鮮度が低下しやすく，輸送時には腐敗果などが発生しやすい．