HFO系冷媒を適用した冷媒圧縮機のトライボロジー特性評価

摘要

近年，地球温暖化防止の観点から，欧州HFC （hydrofluorocarbon）冷媒規制（F-Gas規制）などの冷媒規制が強化されており，R410Aなど現行のHFC冷媒に代わる低GWP（global warming potential：地球温暖化係数）冷媒の空調冷熱機器への適用開発が急務となっている．その候補として，HFO（hydrofluoroolefin）系冷媒を含む混合冷媒，あるいはプロパン（R290）やCO_2（R744）などの自然冷媒が提案されている．一般に，冷媒は圧縮機の潤滑に用いられる冷凍機油と混合することで，冷媒圧縮機内のしゅう動部の潤滑特性を決定する一因となる．新冷媒を適用する空調冷熱機器のしゅう動信頼性確保にあたり，冷媒と冷凍機油の潤滑性を評価し，しゅう動部での潤滑性低下に確固する圧縮機の焼付きや過大な摩耗を抑制することが重要である．そこで本研究では，低GWP冷媒としてHFO系混合冷媒を対象とし，これらの冷媒環境における潤滑特性のうち，特に圧縮機しゅう動部の耐焼付き性能を評価した．