顧客とアソシエーションの関係性による経験価値デザイン②

摘要

前稿では顧客とアソシエーションの関係性によって創出される経験価値について述べた。アソシエーションとは、共通の趣味の集まりやブランドコミュニティなど、リアル、バーチャルを問わない現代のコミュニティやそこに属する個人に対して、同じ目的や志を持って提携し、価値の創出を協同する企業や公共団体の集団である。グローバル化、ITの進化、顧客の変化が速い現在、多角化ではなくお互いの強みを活かした提携戦略が重視されている。しかし、従来の提携戦略によって創出する経済価値の多くは、半導体の技術開発などモノや単なるサービスとしての機能的側面が強いように感じられる。ところが、モノ作りだけでなくコト作りが必要とされている現在、従来のモノを中心とした提携戦略ではなく、経験価値をデザインし顧客と価値を共創するというコトを中心とした提携戦略が重要になっていると考える（図表1）。本稿では、前号に引き続き顧客とアソシエーションによる経験価値の共創を行う提携戦略の詳細について考察を行う。