青果物の品質保持技術の基礎

摘要

農産物は、収穫後農作物の総称であるが、その中で野菜と果物は、青果物と呼ばれる生鮮食品である。この青果物は、本特集で扱う畜肉、魚介類などの他の生鮮食品とは異なり、収穫後も生命活動を維持している。そのため、基本的に低温により化学反応を抑えることで品質保持が達成される食品とは異なり、青果物の品質保持においては、生命活動を維持しているという特徴に基づいて、温度以外の環境因子にも配慮した品質保持技術の適用が求められる。また、青果物は、品質変化の速度が極めて大きいことに加えて、品目ごとに品質特性や品質変化特性の違いが大きいという特徴があり、その品質保持においては、品目ごとに最適化された品質保持対策が不可欠である。そのため、青果物の品質保持は、極めて複雑な技術体系に立脚しているが、本稿では紙面の都合で、青果物の品質保持に関する基本的な事項について解説する。