脱中国を視野に入れたグローバル時代の日系流通企業の国際調達の現状－中国に次ぐ新たな製造拠点としてのインドシナ半島の魅力

摘要

生産コストを軸に考えると、特に労働集約型産業はコストの低い他の国へ水平分業から移行する必要がある。例えばユニクロも今後、中国に依存した生産体制をアセアン地域に展開する動きを見せている。ただし、その担い手の候補となるインドシナ半島の国々は、豊富な労働力がある一面、将来、中国、インドに次ぐ潜在的市場を持ち合わせており、水平分業にとどまらない方向に発展することは明らかである。さらに、巨大市場である中国、インドを結びつける地理的メリットも持ち合わせており、先進国における道路インフラ整備、中国政府の国際高速鉄道の計画といったハード面の投資、それに伴い、従来の船舶輸送からトラック輸送への移行によるリードタイムも短縮傾向にある。ソフト面からも、中印とのFTA締結に加え、越境交通協定の発行を目前に控えており、中印を跨ぐインドシナ半島の物流が一層活性化し、将来、1つの市場として成長すると同時に、アジアの供給基地へ大きく変貌するであろう。