大学は、今、入学者に何を求め、何を与えるか：科学技術史、情報技術の流れの中で考える

摘要

最近、「大学生の学習意欲と学力低下について」というアンケート調査が全国の国公私立大学の約30000人の教官を対象にして実施された。 本稿では、この問題を大学生に限定せず、この世代を離れたより若い世代、あるいは中高年層にもあてはまり得る共通の問題としてとらえる。 より具体的には、この間題を（i）広い意味での社会教育環境、そして、小中高大学教育環境の変容、（ii）社会は大学をどう見ているか、そして何を期待しているか、（iii）大学は入学してくる者に何を与えるべきか、という基本的な立場に立って考察する。そして"技術と学問の関わり"という切口から技術史に残る古代ローマ時代の建築学者ウイトルウイウスの姿勢に学びつつこの間題への対応を考えてみる。