構造材料の腐食,環境脆性評価(7)－腐食疲労強度,腐食疲労き裂伝播速度への影響因子と腐食疲労防止対策

摘要

前稿では，腐食疲労について(1)腐食疲労は材料，環境，応力の3因子が複雑に絡hで生じる時間に依存する環境脆化現象であること．(2)大気も腐食環境とみなされ，大気環境下における疲労き裂は繰返し応力によるすべり，転位の運動，酸化などにより空孔が生じることにより発生すること．また，疲労き裂の伝播には酸素，水蒸気，水素などが影響すること．(3)水溶液中における腐食疲労き裂は塑性変形域や介在物などで電気化学的効果により発生した腐食ピットから発生することが多いこと．また，腐食疲労き裂の伝播速度は腐食環境の影響を受けて加速することが多いこと．(4)水溶液や極限環境中における腐食疲労の特徴として，起点部に腐食ピットや複数個の微小き裂が観察されることが多いこと，き裂先端の鈍化やき裂の分岐が観察されることが多いこと，マクロ破面は平坦，平滑なことが多いこと．およびミクロ破面にはストライエーション，脆性ストライエーション，粒界破面，2次き裂が観察されることが多いこと．などについて述べました．本稿では腐食疲労強度，腐食疲労き裂伝播速度への影響因子と腐食疲労防止対策についてとりまとめてみることにします．