ねじ及びねじ締結の基礎（1）－締結用ねじ部品の規格体系

摘要

締結用ねじ部品は，最も古くから標準化が進hでいる代表的な機械要素であるが，時折，ねじ部品の破壊やねじのゆるみが原因で大事故が起こったとの報道を耳にする。筆者は，長年，ねじに関係する研究に従事し，また，国際標準化に携わる者の一人として，責任を感じざるを得ないが，ねじ部品の品質がどhなに高くなったとしても，設計者や現場の作業者が正しく部品を選択し，適正な組付け（締付け）を行うための十分な知識をもっていなかったとすれば，ねじ締結部の不具合に起因する事故は依然として起こり続けるだろう。そこで，本講座（連載）では「ねじ及びねじ締結の基礎」と題し，締結用部品の品質と，それを正しく使用するための方法の両方について説明し，それらを安全なねじ締結を実現するための知識として活用できるようにすることに目標を置いた。今回は，締結用ねじ部品に関係するJISの構成と主要な内容について概説している。JISの体系を理解し，現状及び将来の課題について知ることは，上述の目的を達成するための第1歩と思っていただきたい。