保健所から見た現場の食品衛生 その1：食の安全·安心を脅かす事件への対応

摘要

食の安全·安心を脅かす事件といえば，どうしても2008年1月の中国製冷凍ギョーザ事件が思い浮かばれる。ちょっと古いが，2008年12月に三菱総合研究所が約1000名に「最も怖いと感じたニュース（表1）」についてアンケートしたところ，同年6月に発生した秋葉原の通り魔事件を抜いて中国製冷凍ギョーザが一·番と答えている。同年の，国民生活センターや日本消費者協会が選定した10大ニュースでも，消費者庁設立のニュースを抜いて中国製冷凍ギョーザのニュースが一番となった。この事件では，農薬の混入量が致死量であり，原因も究明できなかったことから，消費者が漠然と抱いていた輸入食品に対する不安を大いに増幅した。さらに，それが品質を重視しているはずの生協商品であり，日常のように食卓にのぼる餃子だったことも恐怖感を増幅させる要素があったものと考える。