〈特集(1)：電気駆動と油空圧駆動を考える〉：パワーステアリング－パワーステアリングの省エネ技術

摘要

単の「走る」「曲がる」「止まる」という3大機能の中で、「曲がる」機能を受け持つのがステアリング装置である。 当初、ダンプトラックなど産業車両の操舵力軽減要求から登場したパワーステアリング（以下PSと略す）は、女性·高齢ドライバーの増加、イージードライブ化要求などから、今では軽自動車にも採用され、その装着率は米国ではおおよそ100％、日本では90％超、全世界でも70％を超えるまでに至っている。 ここまで装着率が高まったPSであるが、現在主流のエンジン駆動の油圧ポンプを動力源とする油圧式PSでは、その消費エネルギーが乗用車で車両燃費の約3％を占めると言われている。 言い換えれば、全世界で使用されるガソリンの約3％はPSで消費していると言っても過言ではない。 近年、地球温暖化等の環境問題が世界的に関心を集め、地球環境問題への配慮ならびに資源の有効活用への対応のため、燃費向上が世界的に重要な課題となって来ている。 こうした中で自動車の省エネルギーや排出ガス低減の観点から、エンジンから独立した動力源を持つPSのニーズが、特にハイブリッド車の発売、京都国際環境会議以降、各自動車メーカーとも急激に高まって来た。 本稿では、PSの主流を占める油圧式を中心に、この急激なニーズに対応すべく登場した電動油圧式、電動式の各システムにおける省エネ技術の動向について述べる。