〈特集：油圧機器（技術）の現状と課題〉：〈総論〉油圧機器の課題

摘要

油圧業界も機械工業の例にもれず、不況の真只中にいる。 日本フルードパワー工業会の2002年度の売り上げは1868億円と推定され、約20年前の水準に戻ってしまった（第1図参照）。これは経済環境の要素もさることながら、油圧離れと言われる要素もあり得るのではないかと思える。 これは油圧駆動が、電気·空圧·機械駆動といった油圧以外の駆動方法との比較において、優位性を保てない状態があるということではないか。 現状考えられる油圧機器の問題点等を明らかにし、油圧メーカとしての今後を探る意味での問題提起を幾つかのキーワードをベースに行いたい。 まず、そのキーワードを選択する手段として、油圧産業関連の人達の集まりである『日本フルードパワーシステム学会』の会誌の2000年と2001年の特集を羅列してみると、第1表のようになる。 中には課題と言えないものもあるが、これらから幾つかのキーワードが見えてくる。 それらは、『環境問題』·『安全性』·『IT及び制御技術』·『先端技術』である。 それに近頃話題の『生産移転』を加えたものをテーマに稿を進める。