被削性に優れた金型用材料；適切な材料選択や優れた加工法によって，競争力のある金型製造に対する探求が支えられている

摘要

一般に，金型メーカーは標準的な金型鋼P-20やH-13を何tも加工しているため，これらの材料の切削性については熟知している。 この2つの材質は，インジェクション金型やそのほかの金型などが受ける負荷にも耐えられるが，ある特定の部品では，研磨剤の使用や特に自動車部品に見られるような高圧で充填されるプラスチック製品の増加により，高合金や耐摩耗鋼を用いた方が寿命の点からリーズナブルな場合もある。しかしながら，問題は材料の選択や加工方法だけにとどまるものではない。 金型メーカーは，ここ数年間で高騰した原材料の価格にも対応してこなければならなかった。このため，自動車のOEM生産者やそのほかの製造メーカーでは受け入れることができないし，受け入れないだろうと思われるほどに製造コストは増加した。 北アメリカの金型メーカーが注文に対して適当な価格を提示できないのに対して，中国やそのほかの地域の金型メーカーは対応可能なすべての仕事を受注しようと手ぐすねを引いている（彼らに，複雑で高品質な金型を製造する能力があるかについては多くの疑問があるものの）。 そこで，これまでと同等かそれ以上に高い品質の金型を生産しながら競争力をも維持するためには，少なくとも2つのポイントを組み合わせて考える必要がある。 つまり，一つは金型メーカーが経済的に切削や研磨できる方法が見出せるような耐久性が高く付加価値のある高機能な材料，もう一つはコストが削減可能な加工技術や工具である。