コラム：一杯のコーヒーから（140）価値合理性について

摘要

価値（Value）と合理性（Rationality）についてはいろいろな議論や研究があるが，両者を一緒にした価値合理性という言葉は意外と耳にする機会は少ないのではないか？今回はその価値合理性についていろいろと議論をしてみたい．この言葉はドイツの社会学者のMax Weberが唱えたWertrationalitaet，Value Rationalityで有名になったが，むずかしい定義は別にして，価値があると思えば，それを実現する方法がどうあろうと，その方法は合理的なのではないかという，まあある意味では常識に近い考え方であると筆者は理解している．エンジニアはとかく再現性を重視するため，再現性ある方法論を重視し，また数学が好きなため（？），数理的なアプローチを合理的であると考えがちである．この背景には，価値を客観的に評価するためには数理的アプローチが効果的であり，さらに数理的に，定量的に価値を評価できるならば，その価値への寄与も定量的に評価できるので，たとえばコストダウンというような活動をすすめやすくなる．