温度環境の違いが色に対する視線の動きに与える影響の検討

摘要

室温の違う環境下では色に対する視線誘導が異なる可能性があることから，男子大学生及び大学院生を対象に，温度条件（暑熱，適温，寒冷）の異なる実験室内でPCモニターに表示された刺激に対する視線の動きを検討した．刺激は画面左右に値の異なる1桁の数字を呈示し，背景色としては暖色，寒色の2色を用いた．これらの条件において皮膚温，主観評価（温度感覚），視線の停留時間を評価した．その結果，皮膚温及び主観評価については温度条件間において主効果が認められた．よって意図した通りの室温の設定が出来たことが確認された．停留時間では有意差は認められなかった．これは主観的に強い温度刺激を感じていなかったことから，温度刺激が足りなかったと考えられる．以上の結果から各温度条件での暖色，寒色間の視線誘導の変化は認められなかった．