3G通信を備えたツキノワグマの観測首輪の開発と評価

摘要

近年，ツキノワグマによる人身被害，農林業被害が多発している.一方でツキノワグマは絶滅の危機があり，保護する必要がある.これらに対応するために人里に出没したツキノワグマを捕獲し，忌避学習を行い放獣する学習放獣が行われている.しかしながら学習放獣による手法では再び人里にツキノワグマが出没する危険があり，住民との合意形成が難しい問題がある.そこで本稿では，学習放獣時に取り付けるリアルタイムで位置を得られるツキノワグマ観測首輪システムを提案する.提案システムでは放獣したツキノワグマの位置の追跡および接近検知が可能であり，学習放獣の危険性を減らし合意形成を容易にする.システムの動作実験の結果からツキノワグマが人里に接近しているときの追跡が可能であることを示す.また，実験結果からより長期間の稼働を実現する動作手法を考察する.