男性顔の魅力評定における「男性らしさ」と怒り認知の交絡

摘要

男性顔における「男性らしさ」は魅力評定に寄与する要素であるのか、未だ決着が見られていない。しかしながら進化生物学的には、男性顔の「男性らしさ」は高い魅力評価に結びつく特徴であると仮定される。本研究は、男性顔における「男性らしさ」が高い魅力評価に結びつかない理由の一つとして、男性顔の「男性らしさ」に潜在する怒り表情の誤認知が、女性評定者の魅力評定に及ぼす負の効果を提案する。男女の評定者に男性の顔写真を呈示したところ、魅力評定者が女性のときに限って、「男性らしい」男性顔は無表情であっても怒り表情が誤認知されやすく、評定者に脅威性が覚知されることになるために、魅力評価が抑制される可能性が示唆された。