表情認知における物理変数と心理変数の対応関係: Affect Grid法を用いた検討

摘要

本研究では，表情認知過程における視覚情報と感情的意味評価の対応関係について調べるため，基本6表情と無表情の顔画像に対するAffect Grid法による評定実験を実施した．顔画像から抽出した表情認知に関わる3つの視覚的構造変数値と，Affect Grid法により得られた意味評価得点間で重回帰分析を実施した結果，「口の傾斜性」が「快一不快」の判断に，「湾曲性·開示性」が「活動性」の判断にそれぞれ関わっていることが示された．「眉·目の傾斜性」は2つの感情的意味次元のいずれとも有意な相関が見られなかったが，視覚情報次元と感情的意味次元上の基本6表情の布置関係に着目すると，「眉·目の傾斜性」が関わる3つ目の感情的意味次元が存在する可能性が示唆された．