地域密着型情報共有のためのネットワーク構成法

摘要

インターネットを利用した子供見守りサービスや町内会セキュリティサービスなど，地域密着型の情報共有サービスが注目されている．一方，現在のインターネットは，プロバイダごとに構成されており，通信の地域性は考慮されていない．そのため，情報共有を行う各家庭間の実距離が僅かであるにも関わらず，プロバイダが異なる家庭間における通信は複数のInternet eXchange (IX)やNetwork Operation Center (NOC)を経由するため，非効率である．そこで本稿では，これらの問題を解決するために，まずユーザの求めるニーズに応じて動的にネットワークトポロジーを変更できるP2P-VPNを提案する．次に，アクセス回線事業者と各プロバイダとの相互接続点においてインターネット経路情報を交換することで，ネットワーク距離を短縮する地域密着型情報共有のためのネットワーク構成法を提案し，シミュレーションによりその効果を示す．更に，地域密着型情報共有方式とプロバイダの通信帯域増強コストとを比較シミュレーションし，地域密着型情報共有方式の有効性を示す．